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はてなダイアリーより移行

あやしげな猿渡哲也アシスタント説に対抗するための、実際の元アシについてのいくつかの証拠・証言等まとめ

数日前、ツイッター(X)でこんなツイートを見かけた。

電子誌『どこでもヤングチャンピオン』(秋田書店)で『片田舎のおっさん、剣聖になる~ただの田舎の剣術師範だったのに、大成した弟子たちが俺を放ってくれない件~』のコミカライズ(原作:佐賀崎しげる鍋島テツヒロ)を連載中の乍藤和樹先生のつぶやきである。乍藤先生が『タフ』シリーズなどで知られる猿渡哲也先生のアシスタント出身であったとされる噂を否定した内容で、実際検索してみるとこのアシ出身説についてツイッターで数件それらしい言及があったり、ふたばでもたびたび語られていたっぽい節がある。

 

以前にも『推しの子』の赤坂アカ先生や『呪術廻戦』の芥見下々先生についてウィキペディアの記事に出典無しで猿渡先生のアシスタントだったとの情報が加えられるのを見かけた事もあるし(現在は削除済)、怪情報には困ったものである*1

 

〇〇先生は猿渡先生のアシスタントだというのを語るならば、根拠の無い話ではなく、何らかの根拠に基づいて行うのが望ましいだろうと思い、なるべく参照可能な話を添えてアシスタント出身者を挙げてみた。

大武政夫

Fellows!ハルタで10年に渡り連載され、2018年にはTVアニメ化もされた『ヒナまつり』ほか『女子高生除霊師アカネ!』『J⇔M ジェイエム』などの作品で知られる。大武先生は

漫画誌ハルタ』ではハルタ作家が愛用道具を紹介する企画『私の相棒』のコーナーがあるが、『ハルタ』vol.91(2022年)掲載の第17回は大武先生の番で、アシスタント時代にまつわる愛用品を紹介していたが、アシスタント机に『タフ』と書かれた本や、原稿に『タフ』の文字が見られるなどさり気なく猿渡先生のアシであった事を伝えている。

大武先生は『女子高生除霊師アカネ!』ではタフシリーズに登場する宮沢鬼龍っぽいキャラを主人公の父親として登場させていたが、執筆時は無許可で後で師匠の猿渡先生と話す機会が出来た時に事後承諾をとったとの内容のツイート。

あと、テレビ情報誌『TV Bros』の2018年7月号に大武政夫先生のインタビューが掲載されているとの事だが自分は現物を確認出来てないので見られる人は確認して欲しい。

畑優以

月刊少年マガジンRで2022年から『最弱な僕は<壁抜けバグ>で成り上がる~壁をすり抜けたら、初回クリア報酬を無限回収できました!~』のコミカライズ(原作:北川ニキタ、キャラクター原案:笹目めと)の連載を開始した畑優以先生について、大武先生は

彼はモンキー・ファクトリー出身のアシ仲間。

とツイートしている。モンキー・ファクトリーとは猿渡先生の『高校鉄拳伝タフ』に登場する悪魔の施設「デビル・ファクトリー」のもじりで、猿渡先生の元でアシスタントをしていた事を「モンキー・ファクトリー出身」と表現しているのである。

奥嶋ひろまさ

『アシスタントアサシン』『異世界ヤンキー八王子』『ババンババンバンバンパイア』他多数の作品を描いている奥嶋ひろまさ先生は自身のブログで猿渡先生のアシスタントを3年やっていた思い出について語っている。

ameblo.jp

清水俊

「エゴ・エリス-剣奴の血-」「イマドキのサバサバ冒険者」『終のひと』など

大武先生の『マツコの知らない世界』感想ツイートをきっかけとして、大武先生のアシスタント仲間であった清水俊先生は、ゲロを吐くほどの地獄ぶりを思い出していた。

田中康博

サバゲおじさん~50歳からサバゲはじめました~』

『師匠の猿渡哲也先生のお誕生会』に行って、嶋星光壱・奥嶋ひろまさ大武政夫・畑優以や他の現・元アシと語りあった事をツイートしている。

嶋星光壱

漱石と倫敦ミイラ殺人事件』のコミカライズや『キャプテンハーロック~次元航海~』などを手掛ける。

noyonoyo.blog.fc2.com

Kouiti Shimaboshi (Albator) à la Foire du Livre !

chroniquesdunvagabond.wordpress.com

先述の田中康博先生の言及ツイート以外の情報はそれほど多くはないが、2017年3月にベルギーのブリュッセルで開催されたブックフェア「Foire du Livre de Bruxelles 2017」で嶋星光壱先生が出演し、そこで猿渡先生の元でのアシスタント経験を含めた作者の経歴について語られた…とイベントレポートにはある。

鈴木みそ

note.com

自身のnoteで猿渡先生の初連載作『海の戦士』を6話分手伝った事を語っている。

『TOUGH』スタッフ一覧

さて、猿渡先生の『TOUGH』第39巻収録の最終回"LAST MATCH 宮沢熹一"では最後に漫画制作に携わったスタッフの名前が掲載されているが

など先述の名前が確認できる。鈴木みそは『海の戦士』の時の手伝いなのでここには含まれない。嶋星光壱についてはそれらしい名前は確認出来ない(今の筆名は変更後か?)

*1:芥見先生について敢えて接点を挙げるとするならば、『呪術廻戦』の第190話(単行本21巻)でシャルルってキャラが言った「殺法すなわち活法なり」という言葉が『高校鉄拳伝タフ』第19話「決死の挑戦」(単行本2巻)や第6話(単行本1巻)で出てきた「殺法すなわち活法なり」の引用らしく、そんな台詞を引用した芥見先生はマネモブ(猿渡哲也作品を偏愛する読者、2chタフスレ発祥の通称)なのではと邪推された事くらいである

吉永啓之輔の半生が阿部秀司によって漫画化される話と、マンガクロスがリニューアルする予定であるとの話

昨日3月30日、総合格闘家の吉永啓之輔が自身のYoutubeチャンネルで、自分の半生が漫画化される事を告知した。

www.youtube.com

漫画を手掛けるのは『エリートヤンキー三郎』『番町連合』『40歳からラジコンできるかな?』で知られる阿部秀司(動画・右)で他にも何名か漫画化される人がいるらしく合わせて盛り上がる事を期待する。さて今回自分が特に気になったのは内容・人選もだけど掲載媒体の方についてで、動画の3分10秒辺りでWeb漫画サイト『マンガクロス』秋田書店)がリニューアルしてサイト名が変わる予定(名前の発表はGW明け頃)で、新作はそこで配信される予定と語られている。

www.oricon.co.jp

先日、漫画『ラーメン大好き小泉さん』が竹書房から秋田書店の『月刊少年チャンピオン』及び『秋田書店Webマンガサイト』に移籍して10月から再開する事が発表された際『秋田書店Webマンガサイト』ってマンガクロス?スーフル?ヤンチャンWeb?と疑問が頭を渦巻いていたのだが、マンガクロスがリニューアル予定だが次期サービス名が未発表なのでこういう表現になったのでは?とも考えられる(単純にどれで配信するか固まっていなかっただけの可能性もあるが)

何にしても今は続報を待つしかない。阿部秀司の漫画にせよ(『40歳からラジコンできるかな?』の方はどうなるの?とか)マンガクロスのリニューアル予定にせよ『ラーメン大好き小泉さん』の配信予定のサイトにせよ。

 

以上

 

 

 

『パパはニューギニア』の高野聖ーナの新作『マジカル・ミツクニー・ツアー』がコミック乱2024年5月号に掲載された事について

あなたは『パパはニューギニア』という作品を知っているだろうか?

 

青年漫画誌『ビッグコミックスピリッツ』(小学館)で1994年から1998年にかけて連載されていた高野聖ーナ(こうやひじりーな)によるギャグ漫画である。

 

俺は「うおぉ鼻水が止まらね~…というわけで鮭の養殖にチャレンジ」→「わおー生理的食塩水やぁ!」というネタとかひな祭りに女の子が変な顔で「いぇ~いぼんぼりぼんぼりぃ!!」と太鼓を激しく叩くネタとかくだらないネタを濃すぎる絵柄で押し切るパワー系ギャグにそれはもう笑ったものである。

 

そんな高野聖ーナ先生も2000年頃を最後に作品が発表されなくなり、いつしか遠い思い出の中の漫画家となっていた。2017年に『映画秘宝』の「続・消えたマンガ家」で取り上げられた事もあったらしい(未読)

しかし2023年6月に突如として高野聖ーナツイッターアカウントが開設され、生存が確認された事は(俺の)記憶に新しい

まぁ生存確認だけでもかつてのファンとしては嬉しかったのだが、高野聖ーナの新作漫画が『コミック乱』(リイド社)の2024年5月号に掲載という朗報を目にした時はそれはもう…とてもとても…嬉しかったですね。

新作『マジカル・ミツクニー・ツアー』にはサブタイトル「#1 It began in MITO」が付記されていて、作者のbioに

ご厚情により時々「マジカル・ミツクニー・ツアー」という漫画を載せていただく時があります

とあるので不定期掲載の可能性が高く、これからも要チェックである

 

 

小説『シャングリラ・フロンティア』とbiim兄貴の関係性について

以下の記述はどれも数年前の作者発言・作品テキストに基づくもので、ファンにとっては既出も既出であると思われるが自分用のメモとしてまとめる(アニメ放映がきっかけで作品を知り、ファンになった)

 

Web小説『シャングリラ・フロンティア』の原作者である硬梨菜先生が2020年10月17日にツイッター(当時)に投稿したツイートにはこうある(強調はブログ筆者による)

つまり『シャングリラ・フロンティア』の主人公のサンラクこと陽務楽郎(ひづとめ・らくろう)の名字「陽務」はニコニコ動画で「biimシステム」を一大ジャンルとして確立した投稿者biim兄貴(びいむあにき)」と、biim兄貴が動画内で用いているゆっくりの魂魄妖夢(こんぱく・ようむ)」が元ネタであるという事を示している。

 

biim兄貴

じゅうべえくえすとRTA_8時間24分51秒_Part9/12 - ニコニコ

 

他にも硬梨菜先生がbiim兄貴を名指しで好き公言しているツイートも確認出来る

さらに週刊少年マガジン連載の漫画版(漫画:不二涼介)の単行本第6巻に原作者が書き下ろした小説では

秘匿の花園墓参りRTA1時間15分43秒

はい、よーいスタート……ってね」

タイム計測開始はPKプレイヤーがプレイヤーにキルされた場合にリスポーンするファスティア「再起の門」から

biim兄貴及びリスペクト動画で定番の冒頭テンプレを思わせるセリフが使われていたりする。

はい、よーいスタート

 

じゅうべえくえすとRTA_8時間24分51秒_Part1/12 - ニコニコ

ハーメルン」でbiim兄貴リスペクト小説が投稿されているというのは以前に聞いた事はあったのだが「シャングリラ・フロンティア」については予想外であった。

いわゆる「ドリトライ構文」に用いられているセリフの典拠について

雲母坂盾による漫画『ドリトライ』(週刊少年ジャンプ2023年23号~2023年42号)がインターネットのどこで、どのようにして語られ・拡散して・「構文」として確立していったのか、なぜ金曜ロードショー「葬送のフリーレン」のタイミングに同期するかのようにトレンド入りしたのかについてはまったく見当がつかないので、ここでは構文の元ネタとなるシーンとその典拠について記す事とする。

心が強ぇんだ

shonenjumpplus.com

少年ジャンプ+」で2022年2月19日に公開された読み切り『心が強ぇんだ』、設定は『ドリトライ』と大きく異なっているが、心の強さというテーマ性は共通している。

心が強ぇ〇〇なのか…!?

虹村凶作「そしてこの私は その技術を全て受け継いだ 正統後継者である」
(アオリ ☆父の後継…心が強ぇ敵なのか…!?)

『ドリトライ』第9話「正統後継者」より(週刊少年ジャンプ2023年31号、2023年7月3日発売)

ラストページの虹村凶作の特徴的な顔はコラ画像として用いられ、アオリ文「心が強ぇ敵なのか…!?」が構文として用いられている。単行本には基本的にアオリ文は無いので、実際に確認したい人はジャンプラアプリなどでジャンプのバックナンバーを購入するとよい。なお、虹村は特に心が強いわけではなく、むしろその逆である。

ほら〇〇!心の強さでもう一丁!

大神夕日「ほら虹村!心の強さでもう一丁!」
『ドリトライ』第15話「再開」より(週刊少年ジャンプ2023年38号、2023年8月21日発売

主人公の父・大神夕日が虹村に稽古をつけている時のセリフ。何気ない一コマのセリフだが高い汎用性を有している。

ド級のリトライ ドリトライだ!

大神青空「もう一度…リトライだ…でもただのリトライじゃねぇぞ 何度でも心の強さで立ち上がり 前に進む ド級のリトライ ドリトライだ!

(アオリ ☆前へ!進むのみ!!)

『ドリトライ』第17話「悟り」より(週刊少年ジャンプ2023年40号、2023年9月4日発売)

最後は主人公・大神青空のタイトル回収セリフから。既存の語にドを乗せるというシンプルなものだが、構文としては、言葉の頭文字を一文字削ってからドを乗せるという変則的な用法も見られる。



運動時の水分摂取制限に関する歴史について

アイルランドで手一杯=田尾稲氏が神話の剣「フラガラッハ」及びその関連神話に関する資料を調べているのに手一杯の意

 

ともかくこのツイートに触発された人が興味深い資料(というか答えそのもの)を検索したのでメモかわりに貼る。

日本バイオメカニクス学会編「Japanese journal of sports sciences」2巻6号(1983年、ソニー企業)に「運動時の水分摂取をめぐる史的背景(坂本ゆかり著)」という論文が掲載されたとのこと。

dl.ndl.go.jp

幸いにも国立国会図書館デジタルコレクション(個人送信サービス対象)で読めるみたい。29コマ目に坂本ゆかり「運動時の水分摂取をめぐる史的背景」の本文がある。

 

精神鍛錬トレーニングとしての飲水制限、軍隊の訓練、多飲の害に対する誤った考え方等々により、徐々に認識が固まっていく様子がわかりやすくまとめられている。もっとも1983年の論文なのでさらに現在に至る40年の推移についてはまた別の資料・調査が必要なのは言うまでもない。