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東方二次創作アニメ「夢想夏郷」を買っての感想と、東方二次創作と公式を同じ目線で見がちな心理について

Yahoo!ショップで二次創作アニメ「夢想夏郷」の在庫が普通に残っていたので購入した。夢想夏郷MADは何個か見ていたが本編は未見だったので届いたら即座に鑑賞した。感想を言うならばテレビサイズで見るのはつらいなサム…という感じ。*1まかり間違っても「公式と間違えられたらくぁwせdrftgyふじこlp」とファンが騒ぐような代物では無い。


これが物議をかもしたのってのは2ch系ブログで煽られたのもあるけど、「公式と二次を等価に評価する」という東方界隈ならでは力学が大きいよなあと思うよ。

商業作品の同人の界隈のイメージ


作者・作品は天高く昇る太陽であり、ファンや同人者はその光を浴びて、ある者は「ただ消費して楽しむ草」となり、ある者は「同人大手の木」になり、ある者は「腐った木」になるというイメージ。その植物同士で時にいさかいはあるかもしれないが「公式」と「二次」とを比べる事は無く、その差は弁えている。

自分の東方界隈のイメージ


中心に上海アリス幻樂団(神主)というコアがあり、その周りを取り囲むように様々な二次創作(同人誌・二次ゲーム・アレンジCD・グッズ・萌え米…)が雲のように取り囲んでいる。その雲が大きくなればなるほど中心核の「公式」が見えづらくなり外からは二次創作(雲)しか見えなくなる。で新規参入する層が雲の中に飛び込むと、嵐(荒らし)に巻き込まれる。雲が巨大化すると雷が発生し落雷する(外部に騒動を起こす)。


この東方界隈のモデルは、塩野七生の「ローマ人の物語」を読んだ影響か、古代の帝政ローマを連想させるのだ。帝政ローマの最高権力者の皇帝(アウグストゥス)は「第一市民(プリンケプス)」の称号も持っていてあくまでローマのその時の代表であった。だから血統に関係なく一兵卒が勝手に皇帝を名乗るなんて混乱が起こったりもしたのだ。で、乱暴な比較だけど上海アリス幻樂団というの東方Projectの総本山だが、コミックマーケットで他の東方サークルと並んで頒布しているわけで「東方ジャンルの最大手」でもある。有象無象の東方サークルと同じフィールドに立っているわけだから、「二次」と「公式」を同じ目線で評価したり、「公式漫画の描写のせいで、二次創作が否定されてしまった」*2という本末転倒な批判まで飛び出したりするのでは無いだろうか。


で、前に挙げた「商業作品の同人の界隈のイメージ」は、歴史に例えると「キリスト教を国教にした後のローマ」だと思う。後継者は血統を重視され、神の権威で血統は正当化され高みに昇り安定するという感じだ。今の東方はこの状態に近づきつつあるのではないかと思う。フィギュア等の商業ルートで手に入る東方グッズは増えつつあるし、「初音ミクDVD」では「ゲキド・オブ・ハツネ」のBGMとして(アレンジ曲だけど)「ナイト・オブ・ナイツ」が収録される等、どんどん外堀が埋まっていく感じがする。あと星蓮船頒布の際に人が集まりすぎて行列が崩壊しかけた事もあるし、物理的なキャパシティが限界に近づいている気がする。今後どうなるんでしょうかなあ。

*1:いえろ〜ぜぶらの「東方M-1グランプリ」のアニメもテレビサイズで見ると結構きつい。ニコニコ動画の小さいウィンドウが丁度いい

*2:例えば「東方儚月抄」20話で、文が「そろそろ新しい巫女を探さなきゃいけない時期ってことか」と博麗の巫女の替えのきく事を示し、「博麗の血筋」を前提とした二次創作とズレが生じた事に対して少なからぬ批判・混乱が起こった事だ。この件に関しては「公式はどうあれ俺の中では○○がジャスティス!!」ってのが二次創作ってモンじゃあないのかと思うんだが