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東方三月精〜Oriental Sacred Place 第16話「人を喰らう獣」

あらすじ

ヤマイヌが麓に降りていった。仙人・茨華仙によれば人を襲って喰って妖怪化しているかもしれないとの事。それを聞いた妖精達はヤマイヌ避けの対策を取るが…

華仙ちゃん登場

という事で、東方三月精に華仙ちゃんが登場である。比良坂絵を見ての第一印象は「こんなに足が露出してたっけ」であった。故に茨歌仙のコミックスを見なおしたが特にスカートの長さは変わっていない。足が露出してるカットもいくつかあったのだが読んでいる時は「足」に意識は全く行かなかった。「華仙ちゃんといえば腰だよな」って感じで読んでたなぁ。特に1巻23頁の華仙ちゃん腰のくねりがセクシー、エロいっ!


ところで、三月精に華仙ちゃん登場という事で「月人も三月精に出られる可能性が微粒子レベルで存在している…?」と儚クラスタが一時色めき立ちましたが、茨歌仙に三妖精が出る可能性も出てきたとも言える。もし出たら松倉版三月精に近い雰囲気になりそうだ。

三月精の犬よけ

鈴を鳴らして歩くスターサファイアが可愛かったり、自信満々に一升瓶をかかえるルナチャイルドが可愛かったり、数撃ちゃ当たるなサニーミルクが可愛かった(全員可愛い)。そりゃ魔理沙百鬼夜行妖精版と言う罠。

イヌの妖怪にはろくなものがないからな

意味ありげな冷たい目で「イヌの妖怪にはろくなものがないからな」という霊夢魔理沙。一般論なのかそれとも「具体的な誰か」なのか。犬っぽいキャラはいるけど(椛*1、響子*2いぬにく咲夜)、犬そのものというとやっぱ謎だ。これは一般論でええのかな。

何とかしておきました(意味深)

里の人間を襲って妖怪化したヤマイヌに対し、華仙は「何とかしておきました」と意味深な事を言う。今回の話は「妖怪と人喰い」を迫真に描写しとるなぁ…と思ったが、結局「人を襲わなくても腹を満たせるような妖怪にさせたので安心」とちょっと腰砕け。そんなんじゃ甘いよ(棒読み)

送り犬

で、その「人を襲わなくても腹を満たせるような妖怪」が「送り犬」である。華仙曰く「夜道を歩く人間を守ることで人間の恐怖を喰らう妖怪です」との事だが、「送り犬」に関する民話を本でざっと読んでみると…

山梨県北巨摩郡高根町(旧熱見村赤羽根


 或爺様が諏訪からの帰りに棒道で送り犬につかれた。沢山の山犬が爺の後になり先になりしてつきまとい、中には走ってきて爺の頭を飛び越すのもあった。それは山犬が爺のちょんまげに爪をかけて引倒すためで、倒れると山犬に取って食われるから、爺は髷へ爪をかけられぬように髷を解き、髪を振り乱して漸く村へ帰って来た。


 送り犬は人が倒れると飛びつくものだから、もし躓いて倒れる時には必ず「どっこいしょ、一休み」と声をかけねばならぬ。又村の近くへ来て「有難うよ」とか「御苦労よ」といえば、送り犬は離れて行ってしまうし、煙草の火を見せれば逃げてしまうともいう。(甲斐伝説 p.161 口碑伝説集)


稲田浩二・小沢俊夫編著『日本昔話通観 第12巻 山梨・長野』、同朋舎、1981年、51-52頁。

甲州山梨県)の伝承だが、人間を守るというよりは獲物をじっくりと狙うという印象。髷を引っ掛けて転倒させようとする山犬と、髷を解いて倒れるのを阻止する爺さんのやり取りが生々しい。


で、山犬が人間を助ける、「恩返しタイプ」の話もある。

昔、中島幸左衛門が花戸が原を通ると、一匹の山犬が道に出てきて口を大きくあいた。喰いつく様子もないから、近よって山犬の口中をのぞいて見ると、喉に小さな骨が刺さっている。彼は口中に手を入れて骨を取ってやると、山犬は喜んで立ち去った。


数日後、幸左衛門がまた花戸が原を通ると、前に助けた山犬が来て彼の袂の端をくわえて引くから、山犬のなすままに道の傍の藪陰へ行った。するとザワザワと騒がしい物音が聞こえるので、のぞいて見ると、それは渡り狼の大群が過ぎて、行くところであった。もしこの大群に出会ったら命はない。狼の大群が通り過ぎると山犬は彼の袂を離し、幸左衛門は命拾いをした。これが山犬の恩返しであった。


土橋里木・土橋治重『日本の伝説10 甲州の伝説』、角川書店、1976年、87頁。

「怖い山犬でも恩は忘れない」という形であり、山犬への畏れが前提としてある感じ。で、今回ZUNさんが引用した「山犬が母と子を家に送り届けた」話は

長野県上田市塩田


初産の嫁が産み月になったので、里に帰る途中舞田峠で産気づいて子を生む。困っていると山犬が出てきて、嫁と子供をとり巻き子供をなめる。嫁が山犬に「里の家に伝えてくれ」と言うと、山犬は里に行って着物をくわえて引っぱる。里の人がついて行くと娘が産をし、山犬に守られていた。その家では俺に赤飯を山犬にふるまった。(牧内信濃 p.105)


稲田浩二・小沢俊夫編著『日本昔話通観 第12巻 山梨・長野』、同朋舎、1981年、56-57頁。

とある。今回の三月精に出てきたヤマイヌはこのタイプの「送り犬」になったのだろう。ただラストの三妖精を襲っている様子からして「無理やり転ばせて喰うタイプ」にも見える。


結論:「送り犬」は怖い(小並感)

幻想郷情報局

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コンプエース 2011年 12月号 [雑誌]

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*1:白狼天狗

*2:山彦