0:50
ところでみんな、日照り続きで淵の水も減っとるだに、明日はひとつ根流しでもしねえか?
1:00
根流しすればよ、酒もたっぷり飲めるしよ。
1:05
そうだともよ。根流しでガッポリ儲ければよ、ひと夏中働かんでええかもしれねえでよ。ウィヒ!
1:13
根流しとは、川の中に毒のようなものをまいて、浮いた魚を獲るという方法じゃった。連中は小屋へ帰ると早速根を作る作業を始めた。山の木を伐り葉っぱと皮を焼き、灰でグツグツと煮ると根が出来るのじゃった。
1:36
根流しするとよ、魚がみんな白い腹見せてよ、プカプカ浮くんだから面白えよな。*1
1:59
とまあ、男たちは根の煮えるのを待ちながら、明日の事を話しておった。
2:30
男たちがそう思っていると坊さんは木こり達の方へ近寄り、やがて根を煮ている鍋の前へ来て
2:39
これは根じゃな?
2:47
んだともよ。根は淵に流すに決まっとるっぺ。根を流せばよ、面倒な事は何にもいらね。一発でドカーンと獲れてしまうだよ。えーっ!
4:28
いいよいいよ、根流しはやめっぺやめっぺ。坊さんの言う通りにするべ。
5:02
じゃが男たちは決して根流しを諦めたのではなかった。
6:56
底無しの淵と聞いとったが見れ、日照りでこんなに水が減っとるぞ。根の量を増やせば大丈夫だってよ。
7:32
もう一息だ。残りの根を全部ぶち込むぞ。
7:38
言うが早いか、残った根を桶ごと全部淵に投げ込んだ。
雑感
- 4人の木こりの中で1人だけ「根」「根流し」と言っていない
- 根の毒性は水量が少ない時で無いと効果が無いくらい弱い