オレ的ゲーム速報@刃で、↑の画像を紹介した、ガンダムはSF失格という挑発的なエントリがあったが、引用されている画像が途中までしかなくオチがすっぽり抜けていた。オチを見ないと話の主旨が正しく伝わらないので元読者の俺としては、このエントリでオチまでちゃんと紹介する事にした。
この画像は何て漫画?
徳光康之先生の「濃爆おたく先生」。今は亡きマガジンZに連載されていた「ガンダムファンを描いた漫画」である。
主人公:暴尾亜空(あばお・あくう)
ファーストガンダム以来のジオンファン。毎回毎回熱いジオン魂で妄想合戦を繰り広げる男。職業は教師で担当教科は「ガンダム」(「一年戦争」専門)
ダカール流地球連邦軍殺法:難平邪武郎(なんべい・じゃぶろう)
地球連邦ファン。かつて暴尾に「ジオンが勝つ嘘歴史」を授業中に叩き込まれ、受験に失敗した過去を持つ。
イングレッサ流ミリシャ殺法・真運天再苦(まうんてん・さいくる)
∀ガンダムのファン。暴尾に妄想勝負を挑むが、暴尾の一方的なドム妄想の前にあえなく敗れる。
のような一癖も二癖もあるガンダム野郎(と女性)が出てきては暴尾とガンダム妄想トークバトルを繰り広げていく。そんな漫画である。
「SF失格」と言ったあの男は誰?
そんなある日、暴尾亜空が友人のジオン仲間である「唐間歩院徒(からま・ぽいんと)」「金原伊弩(きんばら・いど)」と居酒屋でジオン妄想話に話を咲かせていた。「∀ドム」とか「ドムを創った男たち*1」とかの楽しい妄想遊びをしていた…その時。
SF者:千巣負湾打(せんすおぶ・わんだ)
「アニメに真のSFはない。ましてやロボットアニメになど…」と暴尾に真っ向から挑んできた。
ロボットアニメはアシモフのロボット工学の三原則*2に反してると主張し…
建造費用が高く、かつ壊れやすい「人型兵器」である事の不合理性を指摘する。
千巣負湾打のぐうの音も出ない正論に、暴尾はこのまま負けてしまうのか。「ゲーム速報」ではここまでしか紹介されなかったが、ここからがこの話の本番である。
そこにワンダーはあるのかい?
そのスペオペの科学考証の不備を親兄弟教師友人世間にバカにされ、そのコンプレックスから理論武装に躍起。いつしかハードSFにさえ不備を見いだし、考証マニアへと落ちていった設定バカの典型。
SFのレベルを守っているらしいが、守っているのは頭が良いと思われたいだけの自分自身のみ。
いいかッキサマが語っているのはSF考証であってSFそのものではない!そこにワンダーはカケラもない!
極論すればSFとはワンダーでありワンダーとはおもしろいデタラメだ!その「1」のデタラメをデタラメでなくワンダーと感じさせるための「99」のSF考証が確かに必要だッ!だがッその逆では決してない!
極私論だが「一年戦争」は!ロボットアニメのデタラメを巨大人型兵器のデタラメを!ワンダーへと昇華させようとした世界であり!たとえ考証に多少の不備があろうとも!オレにとっては極上のSF!
他人の評価を恐れて自分の愛したものを否定するな!目を覚ませフューチャーメン*4!背中のサイモン教授*5が泣いているぞ
一気に熱弁を畳み掛ける暴尾。そして…
千巣負湾打とその背中のサイモン教授(キャプテン・フューチャー)の目には涙(冷や汗)。暴尾の魂の叫びが頑ななSF者の心を動かしたのである。
「ガンダムはSF失格では無い」。これがこの回の主題である。かつての「濃爆おたく先生」読者としてこれだけは主張しておきたかった。
画像出典
- 「濃爆おたく先生」第1巻第01話「わが青春の動力パイプ」
- 「濃爆おたく先生」第1巻第05話「学校の裏庭で愛を叫んだおたく」
- 「濃爆おたく先生」第1巻第12話「烙印を消し、歴史を書き直す命」
- 「濃爆おたく先生」第1巻第13話「ドムを創った男たち」
- 「濃爆おたく先生」第1巻第14話「愛.ロボット」
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*2:SF作家のアイザック・アシモフが示したロボットが守るべき3つの原則
*4:SF小説「キャプテン・フューチャー」の主人公キャプテン・フューチャーの仲間達
*5:フューチャーメンの一人。透明なケースに入った脳みその姿をしている。