いわゆる「ドリトライ構文」に用いられているセリフの典拠について
雲母坂盾による漫画『ドリトライ』(週刊少年ジャンプ2023年23号~2023年42号)がインターネットのどこで、どのようにして語られ・拡散して・「構文」として確立していったのか、なぜ金曜ロードショー「葬送のフリーレン」のタイミングに同期するかのようにトレンド入りしたのかについてはまったく見当がつかないので、ここでは構文の元ネタとなるシーンとその典拠について記す事とする。
心が強ぇんだ
「少年ジャンプ+」で2022年2月19日に公開された読み切り『心が強ぇんだ』、設定は『ドリトライ』と大きく異なっているが、心の強さというテーマ性は共通している。
心が強ぇ〇〇なのか…!?
虹村凶作「そしてこの私は その技術を全て受け継いだ 正統後継者である」
(アオリ ☆父の後継…心が強ぇ敵なのか…!?)『ドリトライ』第9話「正統後継者」より(週刊少年ジャンプ2023年31号、2023年7月3日発売)
ラストページの虹村凶作の特徴的な顔はコラ画像として用いられ、アオリ文「心が強ぇ敵なのか…!?」が構文として用いられている。単行本には基本的にアオリ文は無いので、実際に確認したい人はジャンプラアプリなどでジャンプのバックナンバーを購入するとよい。なお、虹村は特に心が強いわけではなく、むしろその逆である。
ほら〇〇!心の強さでもう一丁!
大神夕日「ほら虹村!心の強さでもう一丁!」
『ドリトライ』第15話「再開」より(週刊少年ジャンプ2023年38号、2023年8月21日発売)
主人公の父・大神夕日が虹村に稽古をつけている時のセリフ。何気ない一コマのセリフだが高い汎用性を有している。
ド級のリトライ ドリトライだ!
大神青空「もう一度…リトライだ…でもただのリトライじゃねぇぞ 何度でも心の強さで立ち上がり 前に進む ド級のリトライ ドリトライだ!
(アオリ ☆前へ!進むのみ!!)
『ドリトライ』第17話「悟り」より(週刊少年ジャンプ2023年40号、2023年9月4日発売)
最後は主人公・大神青空のタイトル回収セリフから。既存の語にドを乗せるというシンプルなものだが、構文としては、言葉の頭文字を一文字削ってからドを乗せるという変則的な用法も見られる。