例の本（意味深） - 加熱済み宇宙食4691パック

ウィンムストン・スミスは例の本を読み続けた。

一度も声を大にして指摘されたことはないが暗黙裡に諒解され、行動の規準となっている一つの事実がある。即ち、裏御三家における界隈状況は非常に似たり寄ったりだということである。真夏の夜の淫夢の支配的な哲学は風評被害と呼ばれ、レスリングシリーズでは工作と称せられている。必須アモト酸のそれは普通は「頭破七分」と翻訳されているが、恐らく「頭がパーン」とでも言い替えた方がよさそうだ。淫夢厨は他の両哲学が説く主義主張を些なりとも知ることは許されぬが、それを己れの道徳観と常識に対する野蛮な主張として忌み嫌うべく教え込まれる。現実には三哲学とも殆ど区別が付かない位だし、それの支持する界隈規範も又、その他とは全く区別が付き難い。いずれのジャンルにも同じようなピラミッド型の頂点底辺構造と同じような半ば神格化された指導者崇拝があり…

ヤマムニュエル・ゴールドスタイン『TDN独裁制風評被害主義』第三章「荒らしは平和である」

ウィンムストンは四章純愛省に連れてかれて、幸せな洗脳を受けて終了。